加藤 武

Movie

Summary

俳優・文学座代表の加藤武さんは、1929(昭和4年)東京生まれの86歳。

築地で魚河岸の仲卸業をなさっていたご実家は家族揃ってお芝居好き。加藤さんも子供の頃からよく歌舞伎座に連れてってもらっていたという、文字通り粋な江戸っ子でした。
  
しかし、そんな加藤さんでも、当時は大きくなったら軍人になってお国のために尽くす、と当たり前のように思っていたそう。しかし、直前までのどかだった築地、賑やかで楽しかった浅草、銀座の街があの東京大空襲で一変したお話を、16歳に戻りまるで昨日のことのように話してくださいました。
  
『空襲が激しくなって初めて恐怖心が芽生えた。実感する戦争。これが本当の戦争の始まりだ』
  
『強制疎開もやったよ。ぶっ壊し。空襲の延焼を食い止める目的でさ、家を強制的に壊すんだよ。家の持ち主はたまったもんじゃないよね。でもお国の命令だから仕方ないんだよ』

『学徒動員でさ、工場で何かの部品を作らされるんだよ。でもね工場の中でも非常に大事な部品を作ってる機械がある。これが壊れたらどうしようもないっていう機械。これがアメリカ製!メイドインUSAなんだよ。ああこれはダメだーって思ったね』
  
『みんな戦争を知らない世代っていうけど、そんなことない。よく見なさい!今だって戦争してるじゃない!世界のあちこちで戦争はある。見なさい!難民の人たち、よく見なさい!みんなの戦争は頭の中。実感がない。戦いに行った方たちがお骨になって帰ってきて初めて実感するんだよ、戦争なんてダメだって。だから僕らは戦争の話をし続けなくちゃ!ダメダメダメって言い続けなくちゃいけない』
    
小気味良い江戸弁でまくしたてながら熱心に話してくれた言葉は、どれもこれも印象的で心に刺さりました。
      
加藤武さんは、残念ながらこのインタビューの1ヶ月後に亡くなられました。
とても悲しいし、もっともっとお話をお聞きしたかったと後悔してももう遅いですが、加藤さんの伝えたかったことを次世代につないでいくことが、加藤さんへ示す感謝の印だと思い「みんなの戦争証言アーカイブス」の活動を続けていきたいと思います。
加藤さん、感謝いたします。本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

加藤さんの証言は、このWEBサイトで映像で公開してますが。
書籍「みんなの戦争証言」でも紹介させていただいております。
加藤 武
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加藤 武