Movie
Summary
伊藤仁さんは昭和2年、宮城県塩竈市尾島町に生まれた。
当時は40件近くの女郎屋がひしめき合う歓楽街だった。
そんな賑わった街も伊藤さんが予科練に行く前、空襲の被害にあったという。
昭和18年16歳のとき
13期甲種飛行予科練に入隊。
予科練での日々は、憧れ思い描いていたのと、かけ離れた壮絶なものだった。
食事は米の代わりの小麦と、ぶつ切り雷魚の汁物。
落ち着いて食べることも許されない。
入隊したその日から涙を流す者も多かったという。
1年後、昭和19年17歳のとき
大井海軍航空隊に入隊。
予科練時から毎日のように想像を絶するような体罰受けていたというが、それは
“この痛みから逃れるためには早く天国に行った方がいいのだ”
と思わせる特攻の準備だったのだ。
特攻といえば、心を決めて行っているというイメージが少なからずあるものだ。
しかし事実はそうではないことの方が多かったようだ。
伊藤さんは当時の様子をこう語る。
「本当の特攻の準備をした。全部遺書も書かされて。
その言い草がすごいんです。本当の虫けら同然の扱いしかされなかった。
早く天国へ行け、早く天国へ行けと。ところがね、その天国に行く時にね、
『永遠のゼロ』のようなね、それこそ綺麗に行く人は、いたかもしれないけど、
僕、一人だけは見たんだけど、あとも同じだろうと思って見なかったけれど、
(特攻)前夜、かわいそうだったんです。僕もそうなるんじゃないかなと思って。
酒を飲んでね、長い棒を持ってね、そこらをぶち殴って暴れて、酔っ払って、泣いてね、気が狂ったようで。」
「お母さん、とは言ってたね。もう何を言っているかわからない。
もう、見るに見かねてね。自分がそうなるんだろうなと思うから。」
これは特攻前夜の一期上の先輩の様子だというが
伊藤さんが気の狂ったその様子を見て心情を理解するのは容易かった。
自分にもその時が来てしまうと、覚悟していた。
彼らは、特攻機として使用されていた白菊の後部座席に乗り
敵艦に狙いを定めたら後ろから操縦士をピストルで撃ち抜く。
そして、そのまま機体を激突させる。
いわば同僚殺しの命令を受けていたのだ。
もちろん配属の希望を聞かれることなどなく
有無を言わさず特攻隊に配属されたのだという。
特攻を目の当たりにしてきた伊藤さんは強くこう語る。
「人間が人間でなくなってしまう、鬼になってしまう、
だから、戦争っていうのは、怖い。
戦争は絶対してはならん。
戦争っていうのは、人間を人間が変えるんだと。
だから、どんなことでも、戦争っていうのはしてはいかん。」
幸いにも伊藤さんが特攻する前に日本は終戦を迎えた。
終戦を知り、彼らに酷い体罰を浴びせてきた班長の元へ報復に向かったが、
それを察知したのか、すでに班長は居なかったという。
その後帰郷し、父に顔を見せ「ただいま」と敬礼すると。
厳格で、町一番の豪傑であったその父も思わず泣き出してしまったそうだ。
息子が特攻したかもしれないという、親の気持ちはどれほど辛いものであっただろうか。
伊藤さんが伝えて下さった特攻隊の真実を決して忘れてはならない。
当時は40件近くの女郎屋がひしめき合う歓楽街だった。
そんな賑わった街も伊藤さんが予科練に行く前、空襲の被害にあったという。
昭和18年16歳のとき
13期甲種飛行予科練に入隊。
予科練での日々は、憧れ思い描いていたのと、かけ離れた壮絶なものだった。
食事は米の代わりの小麦と、ぶつ切り雷魚の汁物。
落ち着いて食べることも許されない。
入隊したその日から涙を流す者も多かったという。
1年後、昭和19年17歳のとき
大井海軍航空隊に入隊。
予科練時から毎日のように想像を絶するような体罰受けていたというが、それは
“この痛みから逃れるためには早く天国に行った方がいいのだ”
と思わせる特攻の準備だったのだ。
特攻といえば、心を決めて行っているというイメージが少なからずあるものだ。
しかし事実はそうではないことの方が多かったようだ。
伊藤さんは当時の様子をこう語る。
「本当の特攻の準備をした。全部遺書も書かされて。
その言い草がすごいんです。本当の虫けら同然の扱いしかされなかった。
早く天国へ行け、早く天国へ行けと。ところがね、その天国に行く時にね、
『永遠のゼロ』のようなね、それこそ綺麗に行く人は、いたかもしれないけど、
僕、一人だけは見たんだけど、あとも同じだろうと思って見なかったけれど、
(特攻)前夜、かわいそうだったんです。僕もそうなるんじゃないかなと思って。
酒を飲んでね、長い棒を持ってね、そこらをぶち殴って暴れて、酔っ払って、泣いてね、気が狂ったようで。」
「お母さん、とは言ってたね。もう何を言っているかわからない。
もう、見るに見かねてね。自分がそうなるんだろうなと思うから。」
これは特攻前夜の一期上の先輩の様子だというが
伊藤さんが気の狂ったその様子を見て心情を理解するのは容易かった。
自分にもその時が来てしまうと、覚悟していた。
彼らは、特攻機として使用されていた白菊の後部座席に乗り
敵艦に狙いを定めたら後ろから操縦士をピストルで撃ち抜く。
そして、そのまま機体を激突させる。
いわば同僚殺しの命令を受けていたのだ。
もちろん配属の希望を聞かれることなどなく
有無を言わさず特攻隊に配属されたのだという。
特攻を目の当たりにしてきた伊藤さんは強くこう語る。
「人間が人間でなくなってしまう、鬼になってしまう、
だから、戦争っていうのは、怖い。
戦争は絶対してはならん。
戦争っていうのは、人間を人間が変えるんだと。
だから、どんなことでも、戦争っていうのはしてはいかん。」
幸いにも伊藤さんが特攻する前に日本は終戦を迎えた。
終戦を知り、彼らに酷い体罰を浴びせてきた班長の元へ報復に向かったが、
それを察知したのか、すでに班長は居なかったという。
その後帰郷し、父に顔を見せ「ただいま」と敬礼すると。
厳格で、町一番の豪傑であったその父も思わず泣き出してしまったそうだ。
息子が特攻したかもしれないという、親の気持ちはどれほど辛いものであっただろうか。
伊藤さんが伝えて下さった特攻隊の真実を決して忘れてはならない。