岩井忠正

Movie

Summary

岩井さんは、1920年、大正9年5月15日に10人兄弟の9番目として熊本市で生まれた。
  
4歳の頃、中国・大連に渡り、そこで幼少期を過ごす。
  
父親は日清、日露、シベリア出兵を戦った軍人だ。
 
小学校では「戦跡見学」という行事が度々開かれ、旅順などに汽車に乗って行き日露戦争の戦跡を見学するなどしたことを
よく覚えているという。
  
子供の頃に読んでいた少年雑誌は、どれもこれまでの日本軍の快進撃などを伝えるばかりで、
勇ましさを感じつつもどこか「嘘かもしれない」と冷めた目線を持ち合わせていたという。
 
そんな岩井さんに大きな影響を与えた文学作品がある。
  
それが中学一年生、二年生の頃に読んだレマルクの「西部戦線異状なし」だ。
 
第一次大戦のドイツの学徒兵の本で、
これを読んで「今まで読んだのはかなりウソっぱちが混ざっている。戦争の本当の姿ってのはこれだな」と
思うようになったと語り、
 
戦争の不条理さについては、当時の学生たちも知っていたはずだと証言している。
 
昭和16年に慶応の法学部政治学予科に入学。

外国の映画を観るのがとても好きだったという岩井さんは
戦争が始まる前から「アメリカなんかと戦争すると必ず負ける」と思っていたという。

そして、日米開戦後の昭和18年暮れ。

学徒出陣として動員がかかり、横須賀の海兵団に。

将校として経験を積んでいく過程で特攻隊に入隊、
人間魚雷とよばれる「回天」、自爆攻撃を前提とした「伏竜」といった特攻兵器の乗組員に志願し訓練を重ねた。

子供の頃から戦争の不条理さについて考え、理解していた岩井さんがなぜ特攻隊に志願し、
死を覚悟するまでに至ったのか、その過程が非常に興味深い。

岩井さんの証言は今を生きる私たちが教訓とすべき内容に満ちている。
岩井忠正
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